ベクトルの矢印
ベクトル矢印の形状を変更する方法についての説明です。
デフォルト †
LaTeX 標準の矢印記号を確認しておきます。
esvect †
矢印を表すフォントのひとつに esvect なるものがあります。
ただし,esvect.sty を読み込んだだけでは,
emath の \bekutoru とは結びつきません。
そこで EMesvect.sty を用意して,esvect フォントを emath でも使用可能としました。
esvect.sty には,ロードオプション [.] があり,
それによって矢印の形状はいろいろと変わります。
EMesvect.sty にも同じロードオプションが有効となるようにしてあります。
ロードオプションは a〜h のうちの1文字で,
形状は下のように変化します。
(画面の png では不明瞭でしょうか。PDF ファイルも用意しました。)
なお,デフォルトは d となっています。
pict2e †
\bekutoruIIe †
pict2e.sty で拡張された picture環境の \vector を使用したものが \bekutoruIIe です。
esvect.sty と比較してみます。
\bekutoru --> \bekutoruIIe への切り替え †
emath として,こちらに全面的に切り替えるには,適切な dvi-driver を指定して
\usepackage[...]{EMpict2e}
とした上で,
\let\bekutoru\bekutoruIIe
とします。
- pict2e.sty のバージョンについて
pict2e.sty のバージョンは
2011/04/05 v0.2y
を想定しています。これより古いものではエラーが出るでしょう。
- Windows における dviout は,pict2e.sty に対応していません。
上のリストをタイプセットした dvi ファイルを dviout で閲覧・印刷することは出来ません。
pszahyou環境との併用 †
pszahyou環境を併用するには,
\usepackage[...]{EMpict2e}
とした時点で,graphicx, color はロードされますから,そのあとで
\usepackage{emathPs}
とすれば,pszahyou環境を使用することが出来ます。
注意事項 †
関連事項 †
- 数学B
- esvect パッケージのインストール
esvect パッケージは,CTAN にあります。
- 上記からダウンロードすると,下のようなファイル群が得られます。
これらを "README" の記述に従って処理すればよいのですが,少しく敷衍しましょう。
- esvect.sty の取得
コマンドプロンプト(Mac ですとターミナル)で,
esvect.ins, esvect.dtx
が存在するディレクトリをカレントとして,キーボードから
latex esvect.ins
と打ち込み,エンターキーを押します。
- Windows における コマンドプロンプト に不慣れの方は「コマンドプロンプト」をご参照ください。
- esvect.sty の配置
上の操作で,新しいファイルが出来ますが,これらのうち
esvect.sty
esvect.fd
の2個を TEXMF 以下の適切なディレクトリに移動します。
よくわからなければ,emath.sty と同じディレクトリに移動します。
- フォント関連ファイルの配置
その他のフォント関連ファイルを下のように配置します。
- ls-R を使用している場合は,mktexlsr を実行します。
- map ファイルの登録
updmap.cfg をエディタで編集します。
updmap.cfg の在処は,コマンドプロンプトで
kpsewhich updmap.cfg
を実行するとわかります。
updmap.cfg をエディタで開き,その末尾に次の2行を追加して,上書き保存します。
Map esvect.map
#
引き続き,コマンドプロンプトで,
updmap
を実行します。
動作確認用のファイル
esvect1.tex をタイプセットしてみましょう。
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